LINEで投票を呼びかけていい?SNSメッセージと電子メールの線引き

「LINEで友人に投票をお願いするのは、法律的に大丈夫なのか」

陣営でいちばん多く出る質問のひとつです。同じスマホの中にある機能なのに、LINEはよくてSMSはだめ、というのが現行のルール。この線引きを知らないまま支援者に「拡散よろしく」と頼むと、善意の人を違反者にしてしまいます。

この記事では、総務省の資料をもとに、どの機能が使えてどれが使えないのかを整理します。

目次

結論:LINEは使えます。SMSは使えません

総務省の資料には、こう書かれています。

電子メール(SMTP方式及び電話番号方式)以外の通信方式を用いて、SNSのユーザー間でやり取りするメッセージ機能は「ウェブサイト等」に含まれます

つまりLINEのトークやDMは「ウェブサイト等」の扱いで、ホームページやX(旧Twitter)と同じグループに入ります。ウェブサイト等を使った選挙運動は、一般の有権者にも解禁されています。

一方でSMSは「電話番号方式の電子メール」にあたるため、電子メールと同じ扱い。送れるのは候補者と確認団体(届出政党)だけです。

機能 法律上の区分 一般の有権者が使えるか
LINEのトーク・グループ ウェブサイト等 使えます
X・Instagram・FacebookのDM ウェブサイト等 使えます
LINE公式アカウントの配信 ウェブサイト等 使えます
X・Instagramなどの通常投稿 ウェブサイト等 使えます
SMS(ショートメッセージ) 電子メール 使えません
通常の電子メール 電子メール 使えません

見た目が似ているのに扱いが分かれるので、「メッセージだから同じ」と考えないでください。

なぜLINEとSMSで違うのか

区分の基準は、送信の仕組みにあります。

電子メールとされるのは、SMTP方式(一般的なメール)と電話番号方式(SMS)の2つ。これらは相手のアドレスや電話番号さえ分かれば、承諾なしに一方的に送りつけられます。だからこそ規制が厳しく、送信者を限定し、事前の同意も求めているわけです。

対してLINEやSNSのメッセージは、相手が友だち登録やフォローをしていないと基本的に届きません。 受け手側に一定のコントロールがあるため、ウェブサイト等と同じ扱いで足りる、という整理になっています。

支援者に頼んでいいこと・いけないこと

陣営から支援者にお願いする場面を想定して、具体的に並べます。

お願いする内容 可否
LINEで友人に投票を呼びかけてもらう
候補者のX投稿をリポストしてもらう
LINEグループに選挙公報のリンクを貼ってもらう
陣営のLINE公式アカウントを友だちに紹介してもらう
候補者から届いたメールを転送してもらう ×
支援者のアドレスから応援メールを送ってもらう ×
SMSで投票を呼びかけてもらう ×
選挙運動用のページを印刷して配ってもらう ×

最後の項目は見落とされがちです。ネットで解禁されたのは画面上での頒布までで、それをプリントして配ると「文書図画の頒布」として別の規制がかかります。

いちばん見落とされる「18歳未満」

これは機能の話ではなく、人の話です。

18歳未満の人は、選挙運動そのものができません。 インターネットを使った選挙運動も同じで、投稿もリポストもLINEでの呼びかけも、すべて禁止されています。

LINEやTikTokは若い層の利用が多く、高校生の支援者やお子さんが善意で拡散してしまうケースが起こりがちです。陣営としては、「手伝ってくれる人が18歳以上か」を最初に確認する運用にしておいてください。

候補者本人の子どもが、親の投稿をシェアする。ありそうな話ですが、18歳未満ならこれも違反です。

期間の話も忘れずに

機能と年齢をクリアしても、時期を外すとアウトになります。

選挙運動ができるのは、告示日(公示日)から投票日前日までです。それより前に「〇〇さんに投票してください」と書けば、媒体がLINEでもXでも事前運動として違法になります。

告示前にできるのは政治活動としての発信で、政策や活動報告は書けても、投票の依頼はできません。 この線引きは告示前と告示後で何が変わる?に詳しくまとめています。

また、投票日当日の選挙運動も禁止です。前日までの投稿を消す必要はありませんが、当日に新しく投票を呼びかける投稿をするのは違反になります。

2027年3月からは、この線引きが消えます

ここまでが現行のルールですが、2027年3月1日の法改正で、電子メールの特別扱いは撤廃されます。

2026年7月13日に成立した改正で、候補者・政党等に限定する枠組みとオプトイン要件が廃止され、メールもウェブサイト等と同じ規制に一本化されることになりました。適用は2027年春の統一地方選挙からです。

つまり「LINEはよくてSMSはだめ」という現在の線引きは、いずれ意味を失います。 ただし切り替わるまでは現行ルールが生きていますので、2027年2月までの選挙では、この記事の内容がそのまま適用されます。

改正の全体像は2027年3月から選挙のネット運用が変わるにまとめました。

陣営でやっておくこと

  • □ 支援者向けの案内に「LINEは可・メールとSMSは不可」を明記する
  • □ 手伝ってくれる方が18歳以上か、最初に確認する
  • □ 告示日を全員で共有し、それ以前は投票依頼を書かない
  • □ 投票日当日は投稿しない、と決めておく
  • □ 2027年3月以降はメールの扱いが変わることを、いまから伝えておく

紙1枚のガイドラインにして配るのが、いちばん確実です。 口頭で伝えても、忙しくなると忘れられます。

よくある質問

Q. LINEのオープンチャットはどうですか?

ユーザー間のメッセージ機能ですので、ウェブサイト等として扱われます。ただし不特定多数が参加する場では、誹謗中傷や虚偽情報のリスクも高くなります。 運用ルールを決めてから使ってください。

Q. LINE公式アカウントで一斉配信しても大丈夫ですか?

メッセージ機能はウェブサイト等ですので、公職選挙法上の問題は生じにくい形です。ただし友だち登録の取得方法や、配信の頻度については別途プラットフォームの規約があります。 詳しい運用はLINE公式アカウントの立ち上げから運用体制までをご覧ください。

Q. メールアドレスを知っている支援者に、個別に送るのもだめですか?

だめです。一斉配信でも個別送信でも、選挙運動用の電子メールを送れるのは候補者と確認団体だけです(2027年2月まで)。

Q. 候補者からのメールを、そのままLINEに貼り付けるのは?

メールの「転送」は禁止されていますが、内容を自分の言葉でLINEに書くのは、ウェブサイト等を使った選挙運動として認められます。 ただし本文をそのまま画像で貼るような形は、実質的な転送と見られる可能性があります。判断に迷う場合は選挙管理委員会にご確認ください。

Q. 電話での投票依頼はどうなりますか?

電話による選挙運動は、期間中であれば可能です。ネット選挙運動とは別の枠組みですので、混同しないようご注意ください。

Q. 迷ったときはどこに聞けばいいですか?

その選挙を管轄する選挙管理委員会です。個別の投稿内容についての判断は、ネット上の解説記事ではなく、必ず選管に確認してください。この記事も一般的な整理にすぎません。


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