市議選で当選する人がやっていること|地域・駅立ち・ポスティングの王道と、装備の落とし穴

出馬を決めた方から、必ずいただく質問があります。

「で、何をすればいいんですか」

戦略の本はたくさんありますが、実際の一日が何で埋まるのかを書いたものは、あまりありません。

この記事では、市議選・町村議選で当選していく人がやっている動きを、時期ごとに並べます。そして最後に、その装備が法律に触れやすいという話をします。ここは見落とされがちです。

目次

全体像

時期 やること
日常(何年も前から) 地域に入る。自治会、消防団、祭り
告示の半年〜数か月前 チラシのポスティング、ポスター貼り、駅立ち
告示後(選挙期間) 選挙カー、街頭演説、選挙運動用ビラ

上にいくほど時間がかかり、上にいくほど効きます。 順番を逆にすると、告示後に慌てることになります。

1. 地域に入る

これが土台です。

自治会に顔を出す

地域の集まりに、通う。 総会、清掃、防災訓練、お知らせの配布。

いきなり議員になりたい人として現れるのではなく、その地域にいる人として、先に知られておくことです。

消防団・市民消火隊に入る

入って、活動する。 名前だけ置くのではありません。

消防団は、地域で最も濃い人間関係のひとつです。訓練にも出動にも時間を取られますが、そこで築いた信頼は、選挙の時だけ現れる人には作れないものです。

祭りは「客」ではなく「運営側」で

ここが分かれ目です。

祭りに顔を出して挨拶して回る候補予定者は、たくさんいます。そうではなく、準備から片付けまで、運営側として動く。

テントを立て、椅子を並べ、ゴミを片付ける。その姿を見ている人が、地域には必ずいます。

なぜ効くのか

顔と名前が、役割とセットで覚えられるからです。

「選挙に出るらしい人」ではなく、「消防団の◯◯さん」「祭りの実行委員の◯◯さん」として認識される。この差は、ポスター100枚より大きいことがあります。

そして、これは一朝一夕にはできません。 だからこそ、やっている人とやっていない人で差がつきます。

2. 名前を置いていく

地域に入りながら、並行して進めるものです。

政治活動用チラシのポスティング

告示前の政治活動として、チラシを配れます。

ここで重要なのは、選挙運動にわたらないことです。 「◯◯に投票してください」と書けば、それは事前運動になります。活動報告、政策、経歴、後援会への案内——そうした内容にとどめてください。

表面に、頒布責任者と印刷者の氏名・住所を入れます。

ポスターを貼る

貼らせてもらえる場所を、ひとつずつ増やしていく作業です。

支援者の家の塀、店舗の壁。土地・建物の所有者や管理者の承諾が必要です。電柱、ガードレール、信号機、標識には貼れません。

貼れる場所の数は、そのまま後援会の力を映します。 そして枚数より場所の質です。人通りのある場所に10枚のほうが、人が通らない場所に100枚より効きます。

仕組みと撤去期限は選挙でもないのに、なぜ街に政治家のポスターが貼ってあるのかにまとめました。2027年4月の統一地方選挙が対象の自治体では、2026年秋が撤去期限になる計算ですので、ここは早めにご確認ください。

貼った場所の管理も忘れないでください。数百枚を貼って、どこに貼ったか分からなくなると、期限内に剥がしきれません。

3. 駅立ちをする

いちばん地味で、いちばん続かないものです。

実際の装備

現場で使われているのは、こういう組み合わせです。

装備 中身
ポリの板にポスターを貼ったもの。両面
のぼり旗 2連。知名度のある弁士と本人が並ぶ、演説会の告知という体裁のもの
マイクとスピーカー 小さい駅なら小型のマイク、スピーカーは腰のあたりに
大きな駅なら大きめのマイクと、大きめのスピーカー
チラシ 配る

両面にするのは、人が両方向から来るからです。 片面だけだと、半分の人には背中しか見えません。

駅の規模で機材を変えるのは、音が届く範囲と、周囲への配慮の両方の問題です。 小さい駅で大きな音を出せば、それは迷惑になります。

何も言わない日もあります

毎回演説するわけではありません。 立って、挨拶だけして終わる日もあります。

それでいいのです。 駅立ちの本体は演説ではなく、「またいる」と思われることだからです。

朝と夕方で話す内容を変えます。 何をどう話すかは駅立ちで何を話せばいいのかにまとめました。

同じ場所に、同じ時間に、繰り返し立つ。 週1回を半年続けた人と、告示前に10日間だけ立った人では、通勤する人の記憶への残り方がまったく違います。

場所の許可

駅前は、鉄道用地や私有地であることが多いです。駅の管理者や地権者の許可が要る場合があります。歩行者の通行を妨げないことも当然の前提です。

装備は「誰の名義で作るか」で決まります

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

同じのぼり、同じ板でも、個人名義で作るか、政党・政治団体の名義で作るかで、扱いがまったく変わります。

結論:演説会の告知物として作る

実際に駅立ちで使われているのぼりの多くは、個人ののぼりではありません。

知名度のある弁士と本人が並んだ「2連」で、演説会の告知という体裁をとっています。街に貼ってある2連ポスターと、まったく同じ仕組みです。

政党や政治団体が主催する演説会があり、そこに弁士として誰々が出ます、という告知。その告知物に、地元の候補予定者が並んで載っている。 だから小さく日時と場所が入っています。仕組みは選挙でもないのに、なぜ街に政治家のポスターが貼ってあるのかに詳しく書きました。

政党その他の政治活動を行う団体が掲示する演説会の告知物は、個人の政治活動用文書図画とは別の枠組みで認められています。 政党に所属している方なら、党の側で様式が決まっていることがほとんどです。まず党の担当に確認してください。

個人名義で作ると、こうなります

問題が起きるのは、「自分の名前と写真を大きく入れたのぼりを1本作る」という発想のときです。

公職選挙法143条16項は、候補者等の氏名などを表示する政治活動用の文書図画の掲示を原則として禁止し、例外を限定して並べています。個人名義のものは、この例外に乗せるのが難しくなります。

個人名義で作った場合 選管の案内
氏名・後援会名入りののぼり旗 使用不可とされています
板に貼ったポスター 例外は「ベニヤ板、プラスチック板その他これらに類するものを用いて掲示されるもの以外のもの」裏打ちは例外から外れます
自転車にポールを立てて付けるのぼり 例外に挙がっているのは自動車・船舶・拡声機のみ。自転車は看板の規制に抵触とされています
地面に直接据える折り畳み式の掲示板 規制対象とされています
立札・看板 個人のものは事務所に掲示するもの。後援団体のものは選管の証票が必要で、事務所ごとに2つまで、縦150cm×横40cm以内
たすき・プラカード・腕章・胸章 政治活動中は使用不可とされています

ガードレールに立てかけるのも避けてください。 ガードレールは電柱・信号機・標識と同じ公共物です。公職選挙法以前に、道路法や屋外広告物条例の問題になります。

結局、確認するのがいちばん早い

党に所属しているなら、党の担当に。無所属なら、地元の選挙管理委員会に。

現物か図案を見せてください。 その場で「これは直してください」「これなら問題ありません」と言ってもらえます。作ってしまってからでは直せません。

そして運用には自治体差があります。 同じ形でもA市では何も言われず、B市では指導が入る、ということが起こります。「隣の市の人がやっているから大丈夫」は通用しません。

事前に確認しておけば、通報が来ても「確認済みです」で終わります。 選挙前は対立陣営が見ている時期です。指摘された事実そのものが残ることのほうが、面倒になります。

4. 告示後に切り替わるもの

告示日を境に、使えるものが変わります。ここでの取り違えが、いちばん多い違反です。

告示前はチラシをポスティングできるが告示後の選挙運動用ビラはできない、旗は選管交付の標旗に変わるなどの比較表
同じ道具でも、告示日を境に扱いが変わります。

選挙運動用ビラは、配り方が4つだけです

告示後のビラは、ポスティングできません。

配れるのは、新聞折込/選挙事務所の中/個人演説会の会場の中/街頭演説の場所——この4つだけです。郵送も各戸配布もできません。街頭を歩きながらの手配りもできません(街頭演説の場所でのみ可)。

市議選なら4,000枚・2種類以内選挙管理委員会の証紙を貼り、A4以内、頒布責任者と印刷者の氏名・住所を記載します。

「告示前と同じ感覚でポスティングした」は、そのまま違反になります。

旗は、選管からもらうものに変わります

選挙期間中の街頭演説には、選挙管理委員会が交付する「標旗」が必要です(公職選挙法164条の5)。立候補の届出をした人に交付されます。

自前で用意した旗ではありません。 ここも切り替わります。

2027年の統一地方選挙に向けて、選挙カーの事前予約を受け付けています。 台数に限りがありますので、2027年統一地方選挙|選挙カーの事前予約をご覧ください。

費用の目安

えらぶカーでお受けしている範囲で、実額をお出しします。

内容 料金(税別)
ポスターデザイン 40,000円 / 枚
選挙期間の車両 公費+198,000円〜(時期により変動)
政治活動・月額プラン 70,000円 / 月〜
看板デザイン+4面印刷 120,000円
看板セット(買い切り・税込) 327,800円
看板・音響フルセット(買い切り・税込) 438,000円
撮影(カメラマン同行) 40,000円 / 日

写真は、早めに1回撮っておくことをおすすめします。 ポスター、のぼり、チラシ、看板、ホームページ、SNS。全部に同じ写真を使い回せます。 バラバラだと、同じ人だと認識されません。

よくある質問

Q. 何年前から動けばいいですか?

地域に入るのは、早いほどいいです。 消防団も自治会も、数か月で信頼が育つものではありません。ポスターとチラシは、告示の半年前からが一つの目安です。逆算は2027年4月の統一地方選挙にまとめました。

Q. 一軒ずつ訪ねて回るのは?

戸別訪問は禁止です(公職選挙法138条)。候補者本人だけでなく、支援者も家族も対象です。ここはドブ板選挙と空中戦で詳しく書きました。

Q. 朝の駅立ちと夕方の駅立ち、どちらがいいですか?

朝の駅立ちは、同じ人に繰り返し会えます。 通勤の時間帯は毎日ほぼ同じ顔ぶれだからです。ただし急いでいる人が多く、足は止まりません。

夕方の駅立ちは、人の流れがばらけます。 そのぶん時間に余裕のある方が多く、声をかけてもらえることがあります。

「覚えてもらう」なら朝の駅立ち、「話す」なら夕方の駅立ちという整理でお考えください。両方やる方もいらっしゃいます。

Q. チラシは何を書けばいいですか?

告示前は、投票依頼を書かないことが第一です。活動報告、政策、経歴、後援会の案内。「何をしてきたか」が書ける人は強いので、活動報告を貯めておいてください。

Q. SNSはやらなくていいですか?

やってください。ただし順番があります。 地方選では、名前を最初に届けるのはポスターと街頭です。SNSはそこで興味を持った人が調べたときの受け皿として効きます。理由はドブ板選挙と空中戦に数字を載せました。

Q. 全部を自分でやるのは無理では?

無理です。 だから後援会を作ります。ポスターを貼る場所を探す人、チラシを配る人、駅に一緒に立つ人。人を集めることそのものが、選挙の中身です。名簿の扱いは後援会名簿は個人情報保護法の「適用除外」ですをご覧ください。


ポスター・看板・選挙カーのご相談を承っています

えらぶカーは、東京・大森を拠点に、選挙カー・街宣車のレンタルと販売、ポスターや看板の制作を行っています。全国対応です。

山西が直接担当します。 所属や党派に関わらず、同じ条件でお受けしています。

ポスターと看板をまとめてご依頼いただくと、書体・色・写真を揃えられます。 別々の業者に頼むと、有権者から見て「同じ人」に見えないことがあります。

この3つを教えていただければ、お見積りをお出しします。

  1. どの選挙か(市議選/町村議選/首長選 など)
  2. 告示日と投票日(未定でも構いません)
  3. 必要なもの(ポスターだけ/選挙カー1台/看板だけ など)

2027年春は統一地方選挙です。 印刷も車両も同じ時期に全国で重なります。駅立ちを始める前に、ポスターと写真だけでも先に用意しておくと、あとが楽になります。

お電話でもフォームでも承ります。ご連絡先はこのページのいちばん下にあります。

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