「選挙カーの公費負担は、自治体によって違うのでしょうか」
よくいただくご質問です。調べたので、結論からお伝えします。
結論:自動車の限度額は、全国ほぼ共通です
変わるのは金額ではなく、日数です。
選挙運動用自動車の公費負担の限度額は、公職選挙法施行令109条の4で定められています。地方選挙は各自治体の条例で定めますが、調べた範囲では、どの自治体も国の基準と同額でした。
| 契約の種類 | 1日あたりの限度額 |
|---|---|
| 一般運送契約(ハイヤー方式) | 64,500円 |
| 自動車借入契約(レンタカーなど) | 16,100円 |
| 燃料供給契約 | 7,700円 |
| 運転手雇用契約 | 12,500円 |
| 個別契約3つの合計 | 36,300円 |
「ハイヤー方式」か「個別契約方式」か、どちらか一方です。 同じ日について両方は使えません。
ハイヤー方式は、車・運転手・燃料をまとめて1社に頼む形です。個別契約方式は、レンタカー会社・ガソリンスタンド・運転手を別々に契約する形です。
選挙の種類別・公費負担の上限額
日数が変わるので、総額が変わります。 日数は選挙運動期間(告示日から投票日の前日まで)と同じです。
| 選挙の種類 | 日数 | ハイヤー方式の上限 | 個別契約方式の上限 |
|---|---|---|---|
| 参議院議員(選挙区) | 17日 | 1,096,500円 | 617,100円 |
| 都道府県知事 | 17日 | 1,096,500円 | 617,100円 |
| 指定都市の長 | 14日 | 903,000円 | 508,200円 |
| 衆議院議員(小選挙区) | 12日 | 774,000円 | 435,600円 |
| 都道府県議会議員 | 9日 | 580,500円 | 326,700円 |
| 指定都市の議会議員 | 9日 | 580,500円 | 326,700円 |
| 市長(指定都市以外) | 7日 | 451,500円 | 254,100円 |
| 市議会議員(指定都市以外) | 7日 | 451,500円 | 254,100円 |
| 町村長 | 5日 | 322,500円 | 181,500円 |
| 町村議会議員 | 5日 | 322,500円 | 181,500円 |
市議選なら451,500円、町村議選なら322,500円が上限ということになります。
いちばん大事な注意:上限であって、支給額ではありません
ここを誤解されている方が多いです。
公費で戻るのは、実際にかかった額までです。 限度額まで自動的にもらえるわけではありません。
たとえば市議選で、レンタカー代が7日間で100,000円だったとします。個別契約方式の上限は112,700円(16,100円×7日)ですが、戻るのは実際にかかった100,000円です。 差額の12,700円が出ることはありません。
「限度額いっぱいまで請求する」ということもできません。 契約書と請求書の実額で精算します。
実際に確認した自治体の一覧
2026年9月19日時点で、各自治体の公式ページ・例規集を確認した結果です。
| 自治体 | ハイヤー方式 | 借入 | 燃料 | 運転手 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国の基準(衆院・参院) | 64,500円 | 16,100円 | 7,700円 | 12,500円 | 公選法施行令109条の4 |
| 東京都 | 64,500円 | 16,100円 | 7,700円 | 12,500円 | 条例 |
| 大阪府 | 64,500円 | 16,100円 | 7,700円 | 12,500円 | 条例 |
| 京都府 | 64,500円 | 16,100円 | 7,700円 | 12,500円 | 条例 |
| 神奈川県横浜市 | 64,500円 | 16,100円 | 7,700円 | 12,500円 | 条例 |
| 千葉県浦安市 | 64,500円 | 16,100円 | 7,700円 | 12,500円 | 浦安市 |
| 茨城県かすみがうら市 | 64,500円 | 16,100円 | 7,700円 | 12,500円 | かすみがうら市 |
| 宮城県亘理町 | 64,500円 | 16,100円 | 7,700円 | 12,500円 | 亘理町 |
| 長野県御代田町 | 64,500円 | 16,100円 | 7,700円 | 12,500円 | 御代田町 |
| 鹿児島県湧水町 | 64,500円 | 16,100円 | 7,700円 | 12,500円 | 湧水町 |
9自治体すべてで、4項目とも国の基準と同額でした。
しかも東京都の条例は令和7年10月17日改正(令和8年1月1日施行)、大阪府は令和7年6月23日改正、横浜市は令和7年6月13日改正です。 つまり直近の改正を経てもこの金額です。
※ 名古屋市と福岡県は、例規集がログイン制で公開されておらず確認できませんでした。確認でき次第この表に追加します。
本当に自治体で変わるのは、ポスターです
自動車は共通でしたが、ポスターは違いました。
| 自治体 | ポスター作成費の考え方 |
|---|---|
| 東京都・大阪府・横浜市 | (586円88銭×掲示場数+316,250円)÷掲示場数 ※掲示場500か所以下の場合 |
| 長野県御代田町 | 1枚あたり2,000円×50枚=100,000円 |
| 鹿児島県湧水町 | 1枚あたり1,078円×102枚=109,956円 |
| 茨城県かすみがうら市 | 586円88銭×139か所×2=163,153円 ※国の算式にある316,250円の項がありません |
単価が1枚2,000円の町もあれば、1,078円の町もあります。 国の算式をそのまま使っていない自治体もあります。
ポスターの予算を組むときは、必ずご自身の自治体の条例を確認してください。
町村は、条例がないと公費負担そのものがありません
ここは見落とされやすい点です。
町村の選挙で選挙運動用自動車・ポスター・ビラが公費負担の対象になったのは、令和2年6月の公職選挙法改正(同年12月施行)からです。それ以前は対象外でした。
そして、これは「条例で定めれば公費負担できる」という制度です。 条例を作っていない町村では、公費負担はありません。
お住まいの町村に条例があるかどうかは、必ず選挙管理委員会にご確認ください。 「公費で戻るはず」と思って予算を組んだら対象外だった、ということが起こり得ます。
あわせて、この改正で町村の選挙にも供託金が導入されました(町村長50万円・町村議会議員15万円)。
供託物没収点に達しないと、公費は出ません
もうひとつ、いちばん重い条件です。
得票が供託物没収点に達しなかった場合、公費負担は受けられません。 費用は全額が自己負担になります。
| 選挙 | 没収ライン |
|---|---|
| 市議会議員・町村議会議員 | 有効投票総数 ÷ 議員定数 ÷ 10 |
| 市長・町村長・知事 | 有効投票総数の 10分の1 |
議員選挙のラインは、思っているより低いです。 計算のしかたは供託金は返ってくるのか|市議選の没収ラインは、思っているより低いにまとめました。
公費の対象になるもの・ならないもの
| 項目 | 公費 |
|---|---|
| 車両の借入れ(レンタル料) | 対象 |
| 燃料 | 対象 |
| 運転手の雇用 | 対象 |
| 選挙運動用ポスターの作成 | 対象 |
| 選挙運動用ビラの作成 | 対象 |
| 選挙カーの看板の製作費 | 対象外 |
| 音響機材 | 対象外 |
| ウグイス嬢(車上運動員) | 対象外 |
看板と音響は全額が自己負担です。 予算は別枠でお考えください。内訳は選挙カーの看板はいくらかかる?に、ウグイス嬢の扱いは選挙の手伝いは無報酬が原則ですにまとめました。
運転手の公費は1日1人分・12,500円が上限です。 午前と午後で交代しても2人分は出ません。詳しくは選挙カーの運転手の報酬をご覧ください。
ご自身の自治体で確認する方法
| やること | |
|---|---|
| 1 | 「(自治体名) 選挙 公費負担」または「(自治体名) 選挙公営 条例」で検索します |
| 2 | 選挙管理委員会のページか、自治体の例規集を開きます |
| 3 | 条例名は「◯◯議会議員及び◯◯長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例」という形が一般的です |
| 4 | 見つからなければ、選挙管理委員会に直接お電話ください。いちばん確実です |
告示前に「公費負担の手引き」を配る自治体が多いです。 立候補予定者説明会で配られますので、そちらもご確認ください。
よくある質問
Q. ハイヤー方式と個別契約方式、どちらが得ですか?
上限だけ見ればハイヤー方式が高いですが、実額での精算なので「得」という話ではありません。 車・運転手・燃料をまとめて1社に頼めるかどうかで選びます。運転手をご自身の陣営で用意する場合は、個別契約方式になります。
Q. 選挙カーを2台使えますか?
公費の対象は1日1台までです。 候補者1人が使える選挙運動用自動車も1台です。
Q. 無投票になった場合は?
届出日の1日分だけで計算する自治体があります(浦安市の例)。取り扱いは自治体によりますので、選挙管理委員会にご確認ください。
Q. 公費は候補者が立て替えるのですか?
業者が自治体へ直接請求します。 候補者ご本人が立て替える必要はありません。えらぶカーでも、公費分は当社が自治体へ請求します。
Q. この金額は変わりますか?
変わります。 国の基準は物価の変動などに応じて改定されます(直近では自動車借入が15,800円→16,100円、燃料が7,560円→7,700円に改定されました)。このページは2026年9月19日時点の確認結果です。
お見積りは無料です
えらぶカーは、東京・大森を拠点に、選挙カー・街宣車のレンタルと販売を行っています。全国対応です。
公費の請求は当社が行います。 候補者ご本人に立て替えていただく必要はありません。
「自分の選挙だと、いくら戻るのか」からご相談ください。 選挙の種類と自治体を教えていただければ、公費でどこまで賄えて、いくら自己負担になるかを計算してお出しします。
担当:山西 重亘
TEL:080-5457-1641
受付時間:平日 10:00〜18:00
出典
- 公職選挙法施行令109条の4
- 神奈川県選挙管理委員会「第50回衆議院小選挙区選出議員選挙 公費負担のしおり(自動車等)」
- 総務省「町村の選挙における公営拡大と供託金導入について」
- 各自治体の条例・選挙管理委員会ページ(上の表のリンク先)
このページの数字は2026年9月19日に確認したものです。 制度は改定されます。実際の手続きの前に、必ず管轄の選挙管理委員会にご確認ください。