立候補を考え始めたら、最初にやる手続きがあります。後援会(政治団体)を作って、選挙管理委員会に届け出ることです。
「後援会」というと支援者の集まりのように聞こえますが、法律上は政治資金規正法の「政治団体」です。届け出ていない団体は、政治活動のために寄附を受けることも、お金を使うこともできません。
この記事では、後援会を作ってから、お金を動かせる状態になるまでの流れをまとめます。
※えらぶカーは所属や党派に関わらず、同じ条件でお受けしています。
※届出の様式や窓口の扱いは都道府県ごとに違います。必ず届出先の選挙管理委員会に確認してください。
全体の流れ
| 順番 | やること | 期限・ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 名前・目的・規約を決める | 綱領や規約に決まった様式はない |
| 2 | 代表者と会計責任者を決める | 各1名。会計責任者と職務代行者は別の人 |
| 3 | 政治団体の設立届を出す | 組織した日から7日以内 |
| 4 | 資金管理団体に指定して届け出る | 指定した日から7日以内 |
| 5 | 口座を作る | 必要書類は金融機関ごとに違う |
| 6 | 帳簿と領収書を管理する | 日々の記録 |
| 7 | 収支報告書を出す | 翌年1月1日〜3月31日 |
1. 名前・目的・規約を決める
設立届と一緒に、綱領・規約など、団体の目的・組織・運営を定めた書類を出します。決まった様式はありません(埼玉県選挙管理委員会の案内による)。
後援会の名前は「〇〇〇〇後援会」「〇〇〇〇を応援する会」などが一般的です。目的には、特定の人を推薦・支持することを書くのが後援会の基本形です。
2. 代表者と会計責任者を決める
代表者と会計責任者を、それぞれ1名選びます。会計責任者の職務代行者を置く場合、会計責任者と職務代行者を同じ人にすることはできません。
会計責任者は、帳簿をつけ、領収書を集め、収支報告書を作る人です。選挙が近づくほど忙しくなる役目なので、数字に強く、長く続けてもらえる人に頼んでください。
3. 政治団体の設立届を出す
組織した日から7日以内に、主たる事務所がある都道府県の選挙管理委員会に届け出ます。2つ以上の都道府県にまたがって活動する団体は、都道府県の選挙管理委員会を経由して総務大臣に届け出ます(福島県選挙管理委員会の手引きによる)。市議選・町村議選の候補者の後援会なら、ふつうは地元の都道府県の選挙管理委員会です。
届け出るまでは、政治活動のために寄附を受けることも、支出することもできません。 「とりあえず支援者からお金を預かっておく」はできないということです。
届出の方法は都道府県によって違います。たとえば埼玉県は、郵送では受け付けず、窓口かオンラインでの届出です。事前に確認してください。
4. 資金管理団体に指定する
立候補を予定している人(現職も含む)は、自分が代表を務める政治団体を1つだけ「資金管理団体」に指定できます。指定した日から7日以内に届け出ます。
これをやっておくかどうかで、自分のお金を入れられる額が変わります。
| 自分のお金で入れられる額 | |
|---|---|
| 資金管理団体に指定していない後援会 | 年150万円まで |
| 資金管理団体に指定した後援会 | 年1,000万円まで |
詳しくは自分の後援会に、自分のお金はいくら入れられる?にまとめています。
5. 口座を作る
後援会のお金は、個人の口座と分けて管理します。混ざると、どれが政治資金でどれが私的なお金か説明できなくなります。
口座開設のときに求められる書類(設立届の控えなど)は、金融機関ごとに違います。 窓口で先に確認しておくとスムーズです。
6. 帳簿と領収書
入ってきたお金、出ていったお金を、その都度記録します。支出には領収書を残します。
会計帳簿や領収書は、収支報告書の要旨が公表された日から3年間保存しなければなりません(福島県選挙管理委員会の手引きによる)。選挙が終わったら捨てていい、というものではありません。
年間5万円を超える寄附をくれた人は、収支報告書に氏名・住所・職業を書くことになります。寄附を受ける時点で、そのことを相手に伝えておいてください。寄附のルールは支援者から寄附を受けるときのルールにまとめました。
7. 収支報告書を出す
毎年、翌年の1月1日から3月31日までに、1年分の収支報告書を出します(国会議員関係政治団体は別の期限)。収支報告書は公開されます。
活動をやめるときは、解散した日から30日以内に解散届を出します。
後援会の会費と、寄附の違い
後援会では、入会した人から会費を集めることがあります。会費は、政治資金規正法上の「寄附」とは別の扱いです(寄附の定義から、党費・会費などの債務の履行としての支払いは除かれています)。
ただし、会費と言いながら実際は寄附と変わらない金額を集めると、寄附の上限や公開のルールを逃れていると見られかねません。会費の額は規約で決めておき、それを超えるお金は寄附として扱うのが安全です。
後援会の活動は「政治活動」。事前運動に注意
後援会は、選挙の前から活動できます。会報を出す、集会を開く、入会を呼びかける。これらは政治活動です。
ただし、「次の選挙で〇〇さんに投票を」と呼びかけると、告示前の選挙運動(事前運動)になります(公職選挙法129条)。後援会の集まりでも、会報でも同じです。活動の報告と、投票のお願いは分けて考えることを、後援会の役員にも共有しておいてください。
LINEグループで後援会の連絡をする場合の注意は後援会のLINEグループ、どこまでOK?にまとめています。
よくある質問
Q. 後援会の事務所は、自宅でもいいですか?
設立届には主たる事務所の所在地を書きます。自宅を事務所にしている後援会は珍しくありません。ただし、届け出た住所は公開される情報になります。家族と相談して決めてください。
Q. 代表者と会計責任者は、同じ人でもいいですか?
会計責任者と、その職務代行者を同じ人にすることはできません。代表者と会計責任者の兼任については、届出先の選挙管理委員会に確認してください。お金の管理を本人以外が担うほうが、あとで説明しやすいのは確かです。
Q. 立候補をやめたら、後援会はどうなりますか?
活動をやめるなら、解散した日から30日以内に解散届を出します。残ったお金の扱い(寄附した人に返すか、ほかの政治団体に寄附するかなど)も決めて、最後の収支報告書に載せます。
Q. 届出の前に、支援者からお金を預かってもいいですか?
できません。 届け出るまでは、政治活動のために寄附を受けることも、支出することも禁止されています。届出を先に済ませてください。
後援会ができたら、次にやること
- 支援者の名簿を作る。後援会の名簿の扱いは後援会名簿は個人情報保護法の「適用除外」ですに書きました
- 政治活動の告知(ホームページ、SNS、政治活動用ポスター)を始める
- 選挙に向けた道具の準備(選挙カー、看板、ポスター用の写真)の段取りを立てる
後援会の届出は、立候補を決める前でもできます。 「まだ出馬を決めていない」段階でも、準備だけは先に進めておけます。
出典
- 埼玉県選挙管理委員会「政治団体の届出手続」 https://www.pref.saitama.lg.jp/e1701/seijishikin/dantai-todokede.html
- 東京都選挙管理委員会「政治資金規正法及び公職選挙法における寄附の制限」 https://www.senkyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/senkyo/3001kifuseigen
- 総務省「政治資金規正法のあらまし」 https://www.soumu.go.jp/main_content/000174716.pdf
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