「後援会に寄附すると、税金が戻るって聞いたんですが」支援者からよく聞かれる質問です。答えは「出る選挙によります。戻る場合も、寄附した人が自分で確定申告をする必要があります」です。寄附を受けるときのルール(上限や公開される金額)は支援者から寄附を受けるときのルールにまとめました。この記事はその続きで、寄附金控除の手続きに絞ります。後援会の会計担当の方が、何を作って、どこに出して、寄附者に何を渡すのかの話です。
※えらぶカーは所属や党派に関わらず、同じ条件でお受けしています。
※税の扱いや書類の様式は、必ず届出先の選挙管理委員会と税務署に確認してください。
結論
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象になる選挙 | 衆議院・参議院、都道府県知事・都道府県議会、政令指定都市の市長・市議会 |
| 対象にならない選挙 | 一般の市長・市議会、町村長・町村議会、東京23区の区長・区議会 |
| 後援会への寄附の控除 | 所得控除(寄附金控除)だけ |
| 政党・政治資金団体への寄附 | 所得控除か税額控除を選べる |
| 寄附した人がやること | 確定申告。年末調整では受けられない |
| 必要な書類 | 選管の確認印がある「寄附金(税額)控除のための書類」 |
| 後援会がやること | 収支報告書と一緒に書類を選管へ出し、確認印をもらって寄附者に渡す |
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対象になる寄附・ならない寄附
国税庁の案内では、寄附金控除の対象になるのは、政党・政治資金団体などのほか、「特定の公職」の現職や候補者の後援会への寄附です。特定の公職は、国会議員、都道府県知事・都道府県議会議員、政令指定都市の市長・市議会議員です。一般の市議選・町村議選の後援会は対象外です。ここを間違えて「税金が戻りますよ」と伝えてしまうのが、いちばん多い失敗です。
対象になる選挙でも、次のものは控除を受けられません。
- 後援会の会費、党費。規約に基づいて定期的に払うお金は、寄附ではないためです
- 政治資金パーティーのパーティー券
- 収支報告書で報告されていない寄附
- 候補者本人が、自分の後援会に入れたお金
- 政治資金規正法に違反する寄附
- 新人の場合、結果的に立候補しなかったときの寄附
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いくら控除されるか
後援会への寄附は所得控除です。所得から次の額を差し引けます。
その年の寄附の合計額 − 2,000円 = 寄附金控除の額 (計算に入れられる寄附の合計額は、原則として総所得金額等の40%が上限)
ふるさと納税など、ほかの控除対象の寄附がある人は、それらも合算して2,000円を引きます。政治献金だけで別に2,000円を引くわけではありません。たとえば年に30,000円寄附した人なら、控除額は28,000円です。所得税の税率が10%の人なら、所得税はおよそ2,800円軽くなります。「寄附した額がそのまま戻る」わけではありません。 支援者への説明では、ここも誤解のないように伝えてください。
政党や政治資金団体への寄附なら、所得控除のかわりに税額控除(政党等寄附金特別控除)を選べます。こちらはおおよそ「(寄附の合計額−2,000円)×30%」を所得税額から直接引くもので、所得税額の25%が上限です(寄附額の上限や端数処理などの細かい決まりもあります)。後援会への寄附では選べません。
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手続きの流れ
| 順番 | 誰が | やること |
|---|---|---|
| 1 | 後援会 | 政治団体の設立届(または異動届)を出す。多くの選管の様式には課税上の優遇措置の適用の有無を書く欄があるので、届出先の様式で確認する。新人を推薦・支持する後援会は、その旨が分かる書類も求められる |
| 2 | 後援会 | 寄附を受けたら領収書を発行し、日付・氏名・住所・金額を帳簿に記録 |
| 3 | 後援会 | 年が明けたら前年分の収支報告書を作る。控除を受けたい人は、年5万円以下でも氏名・住所を記載する |
| 4 | 後援会 | 「寄附金(税額)控除のための書類」を寄附者1人につき1枚作り、収支報告書と一緒に選管へ出す |
| 5 | 選管 | 収支報告書と照合して確認印を押し、後援会に返す |
| 6 | 後援会 | 確認印の入った書類を寄附者に渡す |
| 7 | 寄附者 | 確定申告の際に書類を添付する |
3番目は見落としやすいところです。普段は年5万円以下の寄附者は収支報告書に名前が載りませんが、控除を受けるには報告書に載っていることが前提です。控除を希望する人は、5万円以下でも収支報告書に個別に記載されるため、氏名・住所が公開の対象になり得ることを、あらかじめ伝えておいてください。
書類を出す先は、後援会を届け出た選挙管理委員会です(県議・政令市の後援会なら多くは都道府県選管、国会議員関係で総務大臣に届け出た団体なら総務省)。提出の時期や部数、返却の方法は選管ごとに違うので、届出先の案内に従ってください。
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「寄附金(税額)控除のための書類」の書き方
様式は届出先の選挙管理委員会が指定するものを使います。多くの選管がホームページに様式と記載例を載せています。主な記入欄は次のとおりです。
| 欄 | 書くこと | 注意 |
|---|---|---|
| 確認欄 | 何も書かない | 選管が確認印を押す場所 |
| 寄附をした者 | 氏名・住所 | 収支報告書の記載と一字一句そろえる |
| 寄附金の額 | 年間の合計額 | 金額の頭に「¥」を付ける |
| 寄附年月日 | 寄附した日 | 何回かに分けて受けたときは、内訳欄に日付と金額を書く(上の欄を空欄にする記載例が多いが、届出先の記載例で確認) |
| 寄附を受けた団体 | 後援会の名称・所在地 | 届け出たとおりに書く |
| 団体の区分 | 政党・政治資金団体か、それ以外の団体か | 後援会は「それ以外」 |
| 推薦・支持する者 | 候補者の氏名 | 届出どおりの氏名で書く |
| 立候補した選挙・年月日 | 選挙名と立候補の届出日 | 新人は届出をしてから書く。現職の後援会は不要な場合がある |
| 寄附を受けた個人 | 候補者本人が直接受けた場合だけ | 後援会が受けた寄附なら空欄 |
| 寄附の内訳 | 日付と金額を回数分 | 同じ人から複数回受けた場合 |
記入例(架空の例)
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 寄附をした者 | 選挙 太郎/〇〇県〇〇市〇〇町1丁目2番3号 |
| 寄附金の額 | ¥30,000 |
| 寄附年月日 | (複数回のため空欄) |
| 寄附を受けた団体 | 〇〇〇〇後援会/〇〇県〇〇市〇〇町4丁目5番6号 |
| 推薦・支持する者 | 〇〇 〇〇 |
| 立候補した選挙・年月日 | 〇〇県議会議員一般選挙/令和9年4月〇日 |
| 寄附の内訳 | R8.11.10 ¥10,000/R8.12.5 ¥10,000/R8.12.20 ¥10,000 |
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新人候補の後援会は「前年分」に注意
ここがいちばんややこしいところです。まだ現職でない人の後援会への寄附は、本人が立候補した年と、その前年の寄附だけが控除の対象です。立候補の届出をして、はじめて対象だと確定します。2027年4月の統一地方選挙で県議選に出る場合で考えます。
| 寄附した年 | 寄附者の申告 |
|---|---|
| 2026年分 | 2027年3月の確定申告の時点では、まだ立候補の届出前なので対象が確定していない。届出のあと書類を受け取り、申告済みなら「更正の請求」、未申告なら期限後申告(申告義務のない人は還付申告)で控除を受ける |
| 2027年分 | 2028年の確定申告で控除を受ける。確認印の入った書類が間に合わなければ、いったん後援会の領収書で申告し、書類は届き次第提出する扱いがある |
立候補しなかった場合は、どちらも対象外です。新人の後援会で寄附を集めるときは、「控除が受けられるのは立候補した場合」「書類のお届けは翌年以降になる」の2点を必ず伝えてください。
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選挙運動に関して候補者本人が受けた寄附
選挙期間中に、選挙運動に関して候補者本人が受けた適法な寄附も、特定の公職の選挙であれば控除の対象になり得ます。こちらは出納責任者が出す選挙運動費用収支報告書(選挙の後15日以内)で報告され、確認を受けた書類が寄附者に渡ることが前提です。提出のしかたは選管の手引きで確認してください。選挙後の手続きは選挙が終わったらやることにまとめています。
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寄附者への案内文の例
寄附をお願いするときや、領収書を渡すときに、次のような一文を添えておくと行き違いが防げます。
当後援会へのご寄附は、所得税の寄附金控除(所得控除)の対象です。 控除を受けるには、ご自身で確定申告をしていただく必要があります。 控除に必要な書類は、選挙管理委員会の確認を受けたあと、翌年以降にお送りします。 控除をご希望の場合、寄附額にかかわらず、収支報告書にお名前とご住所が記載され、公開の対象となります。
新人の後援会では、「立候補の届出後に控除の対象となります」も加えてください。
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よくある質問
Q. 会社員の支援者でも、確定申告が必要ですか?
必要です。寄附金控除は年末調整では受けられないため、会社員の方も確定申告をします。医療費控除などと同じ扱いです。
Q. 市議選の後援会でも、書類を作れば控除できますか?
できません。一般の市・町村の選挙の後援会は、そもそも対象外です。政令指定都市の市議選は対象です。
Q. 住民税も安くなりますか?
この記事でご紹介しているのは所得税の控除です。住民税の扱いは別の制度になるので、住所地の市区町村に確認してください。
Q. 書類をなくしてしまったと言われました。
まず届出先の選挙管理委員会に相談してください。書類は寄附者1人ずつに作るものなので、後援会の側でも控えを残しておくと対応しやすくなります。
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まとめ
- 控除の対象は国政・都道府県・政令市の選挙の後援会。一般の市議・町村議は対象外
- 後援会への寄附は所得控除だけ。税額控除は政党・政治資金団体への寄附
- 寄附者は確定申告が必要。年末調整では受けられない
- 後援会は収支報告書と一緒に書類を選管へ。確認印をもらって寄附者に渡す
- 控除を希望する人は、5万円以下でも名前と住所が公開の対象になり得る
- 新人は立候補した年とその前年の寄附だけ。前年分は更正の請求などで対応
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出典
- 国税庁「No.1154 政治献金と寄附金」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1154.htm
- 国税庁「No.1260 政党等寄附金特別控除制度」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1260.htm
- 京都府選挙管理委員会「個人のする政治活動に関する寄附に係る所得税の優遇措置について」 https://www.pref.kyoto.jp/senkyo/documents/r5shotokuzeisochi.pdf
- 群馬県選挙管理委員会「寄附金控除の手続」 https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/648448.pdf
- 福岡県「寄附金(税額)控除のための書類(記載例)」 https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/123229.pdf
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|---|---|
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