「選挙の前に、地域を一軒一軒あいさつして回りたい」。立候補を考える方からよく聞く言葉です。ところが、日本の公職選挙法では、投票を頼むために家々を訪ねて回る「戸別訪問」は禁止されています。しかもこの禁止は、選挙期間中だけではありません。一方で、平時の政治活動として地域を回ること自体は、やり方しだいで問題になりません。この記事では、戸別訪問の禁止の中身と、あいさつ回りとの線引き、告示前と告示後で変わること、あわせて気をつけたいあいさつ状のルールをまとめます。
※えらぶカーは所属や党派に関わらず、同じ条件でお受けしています。この記事も特定の政党・陣営を念頭に置いたものではありません。個別のケースの判断は、選挙管理委員会や専門家に確認してください。
結論:「投票のお願い」を目的に家々を回るのは、いつでも禁止
| 行為 | 扱い |
|---|---|
| 投票を頼むために家々を訪ねる | 戸別訪問として禁止(選挙期間中に限らない) |
| 選挙運動のために、家々を回って演説会を告知する | 戸別訪問とみなされ禁止 |
| 選挙運動のために、候補者の名前を言って家々を回る | 戸別訪問とみなされ禁止 |
| 平時に政策を伝える・後援会への入会をお願いする訪問 | 政治活動として行われることが多いが、特定の選挙での投票依頼をすれば違反のおそれ |
| 選挙期間中に電話でお願いする | 選挙運動としてできる(18歳以上で選挙運動ができる人が行う) |
| 道で会った人にお願いする | 選挙期間中はできる(個々面接) |
判断のポイントは、「何のために訪ねるのか」と「いつなのか」です。訪問の目的が投票のお願いであれば、相手が知り合いでも、時期が選挙の前でも、戸別訪問にあたるおそれがあります。
戸別訪問とは何か
公職選挙法第138条は、「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて戸別訪問をすることができない」と定めています。候補者本人だけでなく、支援者や運動員も含めて、誰であっても禁止されています。訪問先は個人の家だけでなく、店や会社、事務所なども対象になり得ます。また、選挙運動のために行う次の2つの行為も、投票のお願いをしなくても戸別訪問とみなされます。
- 家々を回って、演説会の開催や演説をすることを告知すること
- 家々を回って、特定の候補者の名前や政党の名前を言い歩くこと
「選挙に関し」とあるように、この禁止は選挙期間中だけに限りません。告示の前でも、特定の選挙での投票を頼む目的で家々を回れば、戸別訪問の禁止に触れるおそれがあり、あわせて事前運動にもあたるおそれがあります。「告示前なら自由」というわけではありません。違反すると、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になり、刑に処せられると一定期間、選挙権や被選挙権が停止されることもあります。
平時のあいさつ回りは、どこまでできるか
選挙のない時期に、地域の人に会って政策を伝えたり、意見を聞いたり、後援会への入会をお願いしたりする活動は、政治活動として行われています。特定の選挙で自分に投票してほしい、とお願いしないことが前提です。
| 平時の訪問の目的 | 注意点 |
|---|---|
| 活動報告・議会報告を届ける | 報告の中身にとどめ、「次の選挙でよろしく」とは言わない |
| 地域の困りごとを聞く | 相談として聞く。投票と結びつけない |
| 後援会への入会をお願いする | 後援会の活動への参加のお願いにとどめる。選挙が近い時期は特に慎重に |
| 政治活動用ポスターの掲示をお願いする | 掲示の許可のお願いにとどめる。個人の名前入りのポスターは、任期満了日の6か月前から選挙区内に掲示できない |
ただし、選挙が近づくほど、同じ訪問でも「実質的には投票のお願いではないか」と見られやすくなります。告示が近い時期の訪問は、回数・範囲・話す内容を控えめにするのが安全です。告示前の活動の考え方は新人と現職、地方選の戦い方はどう違う?や選挙でもないのに、なぜ街に政治家のポスターが貼ってあるのかも参考にしてください。
告示後にできること、できないこと
立候補の届出をして選挙期間に入ると、選挙運動ができるようになります。ただし、戸別訪問の禁止は選挙期間中も変わりません。選挙期間中に有権者に直接お願いする方法は、次のように整理できます。
- 電話:選挙期間中は、18歳以上で選挙運動ができる人が、電話で投票をお願いできます。選挙運動として電話をかける人に報酬を払うことは、原則としてできません
- 個々面接:選挙期間中に、道や店先などで偶然会った人に、その場で投票をお願いすることはできます(告示前はできません)。ただし、会うために家々を訪ねれば戸別訪問になります
- 選挙はがき・法定ビラ:決められた枚数と方法で届けます(選挙はがきの出し方、法定ビラのルール)
- 街頭演説・個人演説会:人が集まる場所で話を聞いてもらいます(個人演説会の開き方)
- インターネット:ホームページやSNSで選挙運動ができます。メールでの選挙運動は、2027年3月1日からルールが変わります(2027年3月から選挙のネット運用が変わる)
選挙期間中に「後援会の活動」と称して家々を回るのも、目的が投票のお願いであれば戸別訪問にあたるおそれがあります。選挙期間中は、家々を訪ねて回ることはしないと、陣営の全員で決めておきましょう。
支援者・運動員にも伝えておく
戸別訪問の禁止は「何人も」が対象です。候補者本人が気をつけていても、熱心な支援者が知り合いの家を次々に訪ねてお願いすれば、違反のおそれがあります。運動員が買収などで刑に処せられた場合と同じく、陣営の誰かの違反は、候補者の評判にも直結します。
- 告示前の説明会や事務所の打ち合わせで、「家々を回ってお願いしない」と全員に伝える
- お願いは、電話、個人演説会への誘い、紹介はがきなど、認められた方法でしてもらう
- 演説会の告知も、家々を回ってするのは禁止。SNSや電話、会ったときの声かけで伝える
ボランティアへの頼み方は選挙陣営が支援者・ボランティアに共有すべきSNSガイドラインも参考にしてください。
あわせて気をつけたい「あいさつ」のルール
戸別訪問とは別に、公職選挙法には、政治家や立候補予定者のあいさつに関する決まりもあります。
- 年賀状・暑中見舞いなどのあいさつ状:公職の候補者や立候補予定者などは、選挙区内の人に、年賀状や暑中見舞いなどの時候のあいさつ状を出すことが、選挙期間に限らず原則として禁止されています。例外は、いただいた年賀状などへの答礼のために全文を自筆したものなどです。印刷した文面に署名だけを加えたものや、自筆の原稿をコピーしたものは認められません。なお、通常のメールやSNSでのあいさつは、この規定だけで禁止されるものではありません
- あいさつの有料広告:候補者や立候補予定者、後援団体が、選挙区内の人へのあいさつを主な目的とした有料の広告を出すことは禁止されています。新聞やビラ、看板だけでなく、インターネットの有料広告も含まれます
- 選挙後のあいさつ回り:選挙が終わったあと、当選や落選のあいさつのために家々を回ることも禁止されています。一方、インターネットでの当選・落選の報告やお礼の投稿はできます(選挙が終わったらやること)
よくある質問
Q. 1軒だけ、親しい知人の家を訪ねてお願いするのもだめですか?
戸別訪問は、複数の家などを順に訪ねる行為を基本とします。ただし、実際に訪ねたのが1軒だけでも、何軒も回るつもりがあれば戸別訪問にあたる場合があります。告示前であれば事前運動の問題もあります。「1軒なら必ず大丈夫」とは考えず、知人へのお願いは、選挙期間中に電話でする、個人演説会に誘うなど、認められた方法でするのが安全です。
Q. 告示前に、地域の行事であいさつするのは問題ありませんか?
行事に参加して、主催者に招かれてあいさつをすること自体は、一般的に行われています。ただし、その場で次の選挙への投票をお願いすると、事前運動にあたるおそれがあります。
Q. 政治活動用のポスターを貼らせてもらうお願いに回るのは?
平時に、掲示の許可をお願いする訪問は政治活動として行われています。ただし、候補者や立候補予定者の名前(名前を類推できるものを含む)が入った個人の政治活動用ポスターは、任期満了日の6か月前から選挙の期日まで、選挙区内に掲示できません。2027年の統一地方選挙では、すでにこの期間に入っている選挙もあります。政党などのポスターには別の決まりがあるので、掲示の前に必ず確認してください(選挙でもないのに、なぜ街に政治家のポスターが貼ってあるのか)。お願いの中で投票の話はしないでください。
まとめ
- 投票を頼むために家々を訪ねる戸別訪問は、誰であっても、選挙期間中に限らず禁止
- 選挙運動のために、演説会の告知や、候補者の名前を言い歩くために家々を回るのも禁止
- 平時の政治活動としての訪問は、特定の選挙での投票依頼をしないことが前提。選挙が近いほど控えめに
- 選挙期間中は、電話、個々面接、はがき、ビラ、演説、ネットでお願いする
- あいさつ状、あいさつの有料広告、選挙後のあいさつ回りにも決まりがある
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| プラン | 料金 |
|---|---|
| 2027年統一地方選挙(軽バン1台・1選挙) | 370,000円〜(税別) |
| 選挙期間プラン(統一選以外) | 公費+198,000円〜(時期により変動) |
| 政治活動・月額プラン | 70,000円 / 月〜 |
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