「4月は統一地方選挙ですよね? でも、うちの市長選は秋なんです」。統一地方選挙が近づくと、よく出る疑問です。答えは「統一地方選挙は、4年ごとに全国の選挙をまとめてやる行事ではなく、同じ時期に任期が切れる選挙だけを同じ日にそろえる仕組み」だからです。任期の切れる時期がズレた選挙は、統一地方選挙の日程から外れます。
この記事では、統一地方選挙の日程がなぜズレるのか、そして一度ズレるとなぜ戻りにくいのかを整理します。統一地方選挙の日程や、自分の選挙が対象かどうかの調べ方は2027年統一地方選挙はいつ?にまとめています。
※えらぶカーは所属や党派に関わらず、同じ条件でお受けしています。

結論
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| はじまり | 1947年4月。全国の知事・市区町村長・議員の選挙をいっせいに行った |
| 統一率(全国の地方選挙のうち、統一の日程で行われる選挙の割合) | 1947年は100%。2023年は27.54% |
| ズレる主な理由 | 首長の辞職・死亡など/議会の解散/市町村合併/災害による延期 |
| 一度ズレると戻りにくい理由 | 辞職などで空いた席を埋める選挙では、新しい任期がその選挙の日から4年になるため |
| 辞めて出直したら? | 同じ首長が辞職して再選されても、任期は元のまま(リセットされない) |
| 2027年の統一地方選挙 | 特例法案では前半戦4月11日、後半戦4月25日。2026年10月16日に閣議決定され、国会での成立待ち |
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はじまりは「全部いっせい」だった
1947年5月3日、日本国憲法と地方自治法が施行されました。その直前の4月に、全国の知事、市区町村長、議会の議員の選挙をまとめて行いました。これが第1回の統一地方選挙です。
このとき全員の任期が同じ時期に始まったので、4年後も同じ時期に任期が切れます。統一地方選挙の「統一」は、この最初の任期の足並みのことです。毎回、国会で特例法を作り、任期が切れる時期の近い選挙を同じ投票日に集めています。
なお、統一地方選挙の中でも投票日は2つあります。前半戦は知事、道府県議、政令指定都市の市長・市議。後半戦はそれ以外の市区町村長と議員です。県と市の選挙を同じ日にすると、選挙管理委員会の事務が回らなくなるためです。
逆に言えば、どこかで任期の足並みが崩れた自治体は、もう統一の日程には入りません。その崩れ方が、次から説明する統一地方選挙の日程がズレる4つの理由です。
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統一率とは? 最初の8年で半分以下になった
統一率とは、全国の地方選挙のうち、統一地方選挙の日程で行われた選挙の割合です。自治体の数ではなく選挙の件数で数えます。1つの市で市長選と市議選があれば2件です。次のように下がってきました。
| 年 | 統一率 |
|---|---|
| 1947年(第1回) | 100.00% |
| 1951年(第2回) | 81.56% |
| 1955年(第3回) | 46.35% |
| 1967年(第6回) | 42.29% |
| 1991年(第12回) | 38.77% |
| 1999年(第14回) | 29.78% |
| 2019年(第19回) | 27.46% |
| 2023年(第20回) | 27.54% |
(参議院の調査資料から一部の回を抜粋)
目を引くのは、1947年から1955年の8年で半分以下になっていることです。この時期には町村合併が進んだうえ、任期の途中で辞職して、すぐに選挙に出直す知事も相次ぎました。国会に出された質問主意書によると、1951年から1955年にかけて、46人の知事のうち17人がこの形で選挙をしています。選挙の時期を自分に都合のよいときに動かすためでした。このあと法律が改正されますが、それは後ほど説明します。
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統一地方選挙がズレる理由1:首長の辞職・死亡・失職
市長や知事が任期の途中でいなくなると、選挙管理委員会がその通知を受けてから50日以内に選挙をします。理由は、辞職、死亡、議会の不信任による失職、住民の解職請求(リコール)などです。
そして、空いた席を埋めるこの選挙で選ばれた新しい首長の任期は、選挙の日から4年です。前の首長の残りの任期を引き継ぐわけではありません。(任期満了による選挙で、前の任期が残っているうちに選ばれた場合は、前の任期が切れた翌日から4年です。)
架空の例で考えます。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2023年4月 | 統一地方選挙でA市長が当選 |
| 2025年8月 | A市長が病気で辞職 |
| 2025年9月 | 市長選。B市長が当選し、任期は2029年9月まで |
| 2027年4月 | 統一地方選挙。この市の市長選はない(市議選だけ) |
| 2029年9月 | 次の市長選 |
一度9月になった市長選は、次も、その次も9月前後です。統一の日程に自然に戻ることはありません。 同じ市で「市議選は4月、市長選は秋」となるのは、こういう流れです。
統一地方選挙がズレる理由2:議会の解散
議会も、任期の途中で全員の任期が終わることがあります。
- 首長への不信任の議決を受けて、首長が議会を解散したとき
- 議会が自分たちで解散を決めたとき(地方公共団体の議会の解散に関する特例法による自主解散)
- 住民の解散請求(リコール)が住民投票で成立したとき
解散後の選挙で選ばれた議員の任期も、その選挙の日から4年です。こちらも元の日程には戻りません。
一方、議員が1人辞めただけなら、補欠選挙で選ばれた人の任期は前の議員の残りの期間です。議会全体の任期は動きません。議会の任期がズレるのは、議会がまるごと解散したときだけです。1人が辞めただけで日程が動く首長の選挙とは、ここが大きく違います。
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統一地方選挙がズレる理由3:市町村合併
いくつかの市町村が合わさって新しい市ができる(新設合併)と、新しい市の市長選、市議選を行います。その日が統一の日程と違えば、そこから新しい4年のサイクルが始まります。どこかの市に組み込まれる(編入合併)場合や、議員の任期を延ばす合併の特例を使う場合は扱いが変わるので、合併の方式によって選挙の時期の動き方は違います。
合併は戦後に何度も大きな波がありました。そのたびに、それまで統一の日程で選挙をしていた町や村が、別の日程の市に変わっていきました。
統一地方選挙がズレる理由4:災害による延期
大きな災害で選挙ができなくなると、法律を作って選挙を延期します。
- 1995年、阪神・淡路大震災のあと、被災地の選挙が統一の日程から6月11日に延期されました
- 2011年、東日本大震災のあと、岩手・宮城・福島の一部の自治体で選挙が延期されました
延期された選挙の任期は、延期後の選挙の日から4年になります。参議院の調査資料によると、阪神・淡路大震災で任期が延びた自治体から統一の日程に戻りたいという要望が出たことがきっかけで、1999年から統一地方選挙の特例法に、統一の日程に近い時期に任期が切れる首長が、希望すれば参加できる規定が置かれるようになりました。
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「辞めて出直し」をしても、任期はリセットされない
先ほどの1950年代の話の続きです。任期の途中で辞職して出直し選挙をすれば、新しい4年が始まり、選挙の時期を自分で選べてしまいます。これを防ぐため、法律は何度か改正されました。
今のルールでは、首長が自分から辞職して、その辞職による選挙で再び当選しても、任期は辞める前の任期のままです(公職選挙法259条の2)。辞職と出直し選挙は「なかったもの」とみなされます。
ですから、出直し選挙で当選した首長の任期は延びません。ただし、このルールが当てはまるのは本人が再び当選した場合です。別の人が当選すれば、その人の任期は選挙の日から4年になり、日程はズレます。
ズレた選挙は、統一の日程に戻れるのか
自然には戻りません。統一地方選挙の特例法は、統一の投票日の前後に任期が切れる選挙を集めるものです。前回(2023年)は、3月1日から5月31日までに任期が切れる選挙が対象でした。秋に任期が切れる市長選は、4年たっても秋のままです。
戻るのは、再び辞職などで日程が動き、たまたま任期の切れる時期が対象の期間に入ったときや、前回なら6月1日から10日に任期が切れる首長のように任意で参加できる規定に当てはまったときです。
対象の期間を広げれば、もっと多くの選挙を集められそうに見えます。ですが、任期が切れてから選挙までに空白が生まれたり、任期が残っているのに選挙をすることになったりします。任期そのものを延ばしたり縮めたりしない限り、ズレを取り戻すのは難しいというのが政府の説明で、国会でもたびたび議論になっています。
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候補者にとって、何が違うのか
自分の選挙が統一の日程か、ズレた日程かで、準備の進め方が変わります。
| 統一の日程の選挙 | ズレた日程の選挙 | |
|---|---|---|
| 日程の分かりやすさ | 何年も前から分かる | 任期満了なら分かる。辞職などなら突然 |
| 選挙の日 | 特例法で全国一律 | 任期満了の選挙なら、満了日前30日以内に行う(日付は選挙管理委員会が告示) |
| 準備にかけられる期間 | 長くとれる | 首長の辞職などでは、通知から50日以内に選挙 |
| 選挙カー・看板・人手 | 全国で取り合いになる | 周りとかぶりにくいが、時間がない |
| 注目度 | ほかの選挙と一緒に報道されやすい | その選挙だけが注目される |
統一の日程の選挙は、日程が早くから分かる代わりに、選挙カーや看板の印刷が全国で一度に動きます。早めに押さえておくことが大事です(統一地方選挙は選挙カーの争奪戦になる?)。
ズレた日程の選挙、とくに首長の辞職による選挙は、告示まで1か月少ししかないこともあります。車両を自分で用意して看板を作る時間はまずありません。えらぶカーは、統一選以外の選挙でも、看板・音響が付いた軽バンの選挙カーをそのままお貸ししています。急な選挙ほど、早めにご相談ください。なお、選挙カーの費用のうち公費で負担される範囲や上限額は、選挙の種類や自治体の条例で違います。
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よくある質問
Q. 自分の市の選挙が統一地方選挙に入っているか、どう調べますか?
次の順番で確かめるのが確実です。①市区町村の選挙管理委員会のホームページで選挙の予定を見る。②市長と議員それぞれの任期満了日を確認する。③その日が統一地方選挙の特例法の対象期間(前回は3月1日〜5月31日)に入っているかを見る。分からなければ選挙管理委員会に電話で聞いてください。詳しい調べ方は2027年統一地方選挙はいつ?に、東京都の一覧は2027年 東京都の選挙日程にまとめています。
Q. 県議選と市長選が別の日なのは、おかしくないですか?
おかしくありません。県議会と市長は、それぞれ別々に任期を数えています。どちらかがズレれば、別の日になります。また、ズレていなくても、県議選は前半戦、市長選は後半戦なので、統一地方選挙の中でも投票日は2週間ちがいます。
Q. 統一率が下がると、何が困るのですか?
統一地方選挙には、選挙をまとめて経費を抑え、有権者の関心を高めるねらいがあります。統一率が下がると、そのねらいが薄れます。一方で、ズレた理由の多くは辞職や解散など制度上やむを得ないものです。
Q. 2027年の統一地方選挙の日程は決まりましたか?
2026年10月16日、前半戦を4月11日、後半戦を4月25日とする特例法案が閣議決定されました。この記事を書いた時点では成立前で、国会で成立すれば正式に決まります。
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まとめ
- 統一地方選挙は、同じ時期に任期が切れる選挙だけを同じ日にそろえる仕組み
- 1947年は100%だった統一率は、2023年には27.54%
- 統一地方選挙の日程がズレる理由は、首長の辞職・死亡など、議会の解散、市町村合併、災害による延期
- 空いた席を埋める選挙では、新しい任期は選挙の日から4年。だから一度ズレると自然には戻らない
- 首長が辞めて出直し、再選されても任期はリセットされない
- 統一の日程なら選挙カーは早めに、ズレた日程なら急な選挙に備えて相談先を決めておく
出典
- 参議院 常任委員会調査室・特別調査室「地方選挙をめぐる状況と課題 -令和5年統一地方選挙を中心とした最近の国会論議-」(立法と調査 No.457) https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2023pdf/20230601019.pdf
- 衆議院「公職選挙法第二百五十九条の二で地方公共団体の長に任期の起算の特例を規定した立法趣旨を逸脱する事例に関する質問主意書」(質問第259号) https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a201259.htm
- e-Gov法令検索「公職選挙法」(33条・34条・259条の2・260条) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100
- e-Gov法令検索「地方自治法」(93条・140条・178条) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000067
- NHK「来春の統一地方選 4月11日と25日実施へ 政府が特例法案を決定」(2026年10月16日) https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20261016de60274
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