軽貨物で配送を始めるには黒ナンバーが必要です。正式には「貨物軽自動車運送事業」の届出をして事業用の軽自動車として登録された車のことで、ナンバープレートが黒地に黄色文字になるためこう呼ばれています。
手続き自体は難しくありません。 許可ではなく届出なので、要件さえ満たしていれば断られることはなく、届出そのものに費用もかかりません。
ただし2025年4月から新しい義務が加わり、すでに稼働中の事業者にも2027年3月末という期限が設けられました。実務としてはこちらのほうが重要なので、後半で詳しく説明します。
白ナンバーと黒ナンバー、どちらが必要か
まず、そもそも黒ナンバーが要るかどうかです。
| 必要なナンバー | |
|---|---|
| 他人の荷物を、有償で運ぶ | 黒ナンバー |
| 自社の荷物を運ぶ | 白ナンバーで可 |
- Amazonや宅配業者の委託を受けて配送する → 黒ナンバー
- フードデリバリーで報酬を得る → 黒ナンバー
- 自分の店の商品をお客様に届ける → 白ナンバーで可
- 工具や資材を現場に運ぶ(自社の仕事) → 白ナンバーで可
判断の基準は「運賃をもらうかどうか」です。荷物を運ぶこと自体でお金を受け取るなら黒ナンバーが要りますし、無許可のまま有償で運べば貨物自動車運送事業法違反になります。
黒ナンバー取得の4ステップ
ステップ1:運輸支局へ届出書を提出する
管轄の運輸支局(輸送担当窓口)に、次の書類を提出します。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 貨物軽自動車運送事業経営届出書 | 事業者名、営業所、事業の概要 |
| 運賃料金設定届出書 | 自分で決めた運賃の表 |
| 事業用自動車等連絡書 | 次のステップで使う |
| 車検証のコピー | 使用する車両のもの |
運賃料金設定届出書は「自分で決めて出す」ものです。認可を受けるわけではないので相場を参考に作れば構いませんし、委託元があるならその契約に沿った内容にしておきます。なお届出そのものに手数料はかかりません。
ステップ2:事業用自動車等連絡書を受け取る
届出が受理されると、運輸支局が事業用自動車等連絡書に押印して返してくれます。これが次のステップの入場券になります。
ステップ3:軽自動車検査協会でナンバーを取得する
連絡書を持って軽自動車検査協会へ行き、事業用(黒)ナンバーの交付を受けます。
- ナンバープレート代:1,500円前後(地域による)
- 車検証の書き換えも同時に行われます
これで黒ナンバーになります。
ステップ4:任意保険を事業用に切り替える
忘れがちですが、ここが最も重要です。 自家用の任意保険は事業用の車には使えず、そのまま業務で使って事故を起こすと、保険金が支払われないおそれがあります。
事業用の任意保険は月額1.5万〜2.5万円が相場で、自家用の5〜6倍。しかも自家用で育てた等級は引き継げず、多くは6等級からのスタートになります。開業時にいちばん効いてくる出費なので、資金計画に必ず入れておいてください。
必要な要件
届出には、次の要件を満たす必要があります。
車両
- 軽自動車(貨物用)であること
- 車検証の用途が「貨物」であること
乗用登録の軽自動車では届出できません。軽バン・軽トラックを選んでください。
営業所・車庫
- 営業所:自宅でも可
- 車庫:営業所からおおむね2km以内
- 車庫は自己所有か、賃貸契約があること
駐車場の契約書が必要になることがあります。月極を借りている場合は契約書を用意してください。
休憩・睡眠施設
営業所または車庫に併設されていること。自宅兼営業所なら、自宅がこれに当たります。
【重要】2025年4月から、安全管理者の選任が義務になりました
ここからが本題です。
2025年4月1日から、黒ナンバーの軽貨物車両を使う事業者は「貨物軽自動車安全管理者」を選任する義務があります。個人事業主も対象です。(バイク便事業者は除きます)
背景には、軽貨物配送の急増にともなう事故の増加があります。
やらなければいけないこと
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事前の講習 | 貨物軽自動車安全管理者講習(5時間以上)を受講 |
| 選任・届出 | 選任して、運輸支局へ届出 |
| 定期講習 | 2年ごとに定期講習(2時間以上) |
講習を受けてからでないと選任できません。 順番に注意してください。
既存事業者の期限は 2027年3月31日
すでに事業をしている方には猶予期間があります。
| 項目 | 猶予 | 期限 |
|---|---|---|
| 安全管理者の選任 | 施行後2年 | 2027年3月31日 |
| 初任運転者への特別指導・適性診断 | 施行後3年 | 2028年3月31日 |
残り1年半を切っています。
これから開業する方は、猶予がありません。 開業の時点で選任が必要です。
罰則
| 違反 | 罰則 |
|---|---|
| 安全管理者の選任義務違反 | 100万円以下の罰金 |
| 選任・解任の届出義務違反 | 100万円以下の罰金 |
| 重大事故の報告を怠った/虚偽報告 | 50万円以下の過料 |
「知らなかった」では済まない金額です。
講習の予約は期限が近づくほど取りにくくなります。早めに済ませてください。 講習の実施機関と申込先は、お住まいの地域の運輸支局にご確認ください。
開業時にかかる費用の目安
黒ナンバーの取得だけなら安く済みますが、実際に稼働するまでには次の費用がかかります。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 届出(運輸支局) | 0円 |
| ナンバープレート代 | 1,500円前後 |
| 行政書士に代行を頼む場合 | 10,000〜30,000円 |
| 任意保険(初年度) | 180,000〜300,000円 |
| 安全管理者講習 | 実施機関による |
| 車両(購入する場合) | 400,000〜800,000円(中古軽バン) |
| 車両(レンタルする場合) | 月額45,000〜65,000円 |
| 台車・カゴ車・固定用ベルトなど | 20,000〜50,000円 |
| スマホ・カーナビ・ドライブレコーダー | 30,000〜80,000円 |
| 駐車場(都市部) | 月額10,000〜40,000円 |
車両を買うと、初月で70万〜120万円が必要になります。任意保険を年払いすればさらに乗ります。
開業初期はレンタルで始めて、事業が続くと分かってから購入を検討するという進め方が、資金的には無理がありません。
開業してから最初にやること
運賃料金の届出を守る
届け出た運賃と、実際に受け取る運賃が大きく違うと問題になります。委託契約の内容が変わったら、届出も変えてください。
事業報告書の提出
貨物軽自動車運送事業者には、事業実績報告書の提出義務があります。提出時期と様式は運輸支局にご確認ください。
車両の点検記録
日常点検の記録を残してください。安全管理者制度の強化にともない、記録の重要性が増しています。
よくある質問
Q. 黒ナンバーの届出に審査はありますか?
許可ではなく届出なので、書類が整っていれば受理されます。ただし車庫の要件(営業所から2km以内)などを満たさないと受理されません。
Q. 自宅を営業所にできますか?
できます。賃貸の場合は、事業利用が禁止されていないか賃貸借契約を確認してください。
Q. 軽トラックでも黒ナンバーは取れますか?
取れます。車検証の用途が「貨物」であれば、軽バンでも軽トラックでも構いません。
Q. レンタルした車で黒ナンバーは取れますか?
取れます。ただし条件があります。 黒ナンバーの届出は、車検証の「使用者」が事業者本人でなければできません。
つまり、レンタル業者が使用者のままだと届出できません。車検証の使用者をあなたの名義に変更してくれる業者を選ぶ必要があります(所有者は業者のままで構いません)。
これに対応していない業者は少なくありません。 契約前に「使用者名義を自分に変更できるか」を必ず確認してください。
Q. 安全管理者は、自分がなれますか?
個人事業主の場合、自分自身が安全管理者になります。 講習を受けて選任し、届出をしてください。
Q. 講習はどこで受けられますか?
国土交通大臣の登録を受けた講習実施機関で受けられます。最新の実施機関と日程は、運輸支局または国土交通省の案内でご確認ください。
Q. 廃業するときはどうしますか?
廃業の届出をして、黒ナンバーを返納します。放置すると事業報告の義務が残り続けます。
えらぶカーの事業者向けプラン
白ナンバーで足りる用途の方へ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月額(3か月〜) | 65,000円〜(税別) |
| 月額(12か月契約) | 57,000円(税別)/年額96,000円お得 |
| 任意保険 | 込み(対人無制限・対物5,000万円) |
| 車検・定期メンテナンス | 込み |
| 自動車税・重量税・自賠責 | 込み |
| 初期費用 | 0円 |
| 車種 | ダイハツ ハイゼットカーゴ/日産 NV100クリッパー |
任意保険が含まれているため、開業時に18万〜30万円の保険料をまとめて用意する必要がありません。 開業初期の資金繰りが楽になります。
ただし、弊社の車両は黒ナンバーにはできません。 自家用(白ナンバー)のままレンタカーとしてお貸ししており、車検証の使用者が弊社名義になるためです。有償配送で使う車をお探しの方は、使用者名義を変更してくれる業者をお選びください。
弊社でご利用いただけるのは、自社の商品・資材を運ぶ自社便、建設・設備の資材運搬、営業車・社用車など、白ナンバーで足りる用途です。
契約前にお伝えしておく2つの制約
代車のご用意がありません。 故障や事故で修理に入った場合、代わりの車をお出しできません。そのぶん車検・法定点検・定期メンテナンスを月額に含め、故障そのものを防ぐ運用にしています。1台のみで毎日稼働され、車が止まると収入が途切れる方には向きません。
選挙返還条件があります。 弊社は選挙カーのレンタルも行っているため、選挙が入る場合は1か月前にご連絡のうえ、2〜3週間の返還をお願いすることがあります。
この2つの条件があるぶん、月額を抑えています。自社便の配送、建設・設備の資材運搬、法人の社用車に向いたプランです。
お電話でもフォームでも承ります。ご連絡先はこのページのいちばん下にありますので、そちらからどうぞ。
料金とプランの全体は軽バンのレンタルにまとめています。 ご不明な点はお気軽にどうぞ。