SNSを外部に任せたものの、「思っていたのと違った」という声は少なくありません。投稿は続いているのに地元の人に見られていない、解約したらアカウントのパスワードが分からなくなった、選挙期間中に頼んでいた内容が実は危なかった――。この記事では、政治家がSNSを外注して失敗しやすい7つのパターンと、それを防ぐために契約前に書面で決めておくことをまとめます。外注すべきかどうかの判断は選挙SNS運用を外部委託すべきか、費用の目安は政治家のSNS運用代行、費用はいくら?をご覧ください。
※えらぶカーは所属や党派に関わらず、同じ条件でお受けしています。この記事も特定の業者や陣営を念頭に置いたものではありません。
結論:失敗の多くは「最初に決めていなかったこと」から起きる
| 失敗パターン | 防ぎ方 |
|---|---|
| 1. アカウントを業者に握られる | アカウントと復旧手段は本人が管理し、業者には必要な権限だけを付与する |
| 2. 選挙期間中の依頼内容が危ない | 発信内容は本人・選対が決め、業者への指示と承認の記録を残す |
| 3. 本人らしさが消える | 本人の言葉と顔が出る投稿を必ず混ぜる |
| 4. 見られているのは地元以外 | 何で成果を測るかを最初に決める |
| 5. 追加料金がふくらむ | 本数・修正回数・撮影の有無を契約に書く |
| 6. 素材やデータが返ってこない | 権利と元データの引き渡しを契約に書く |
| 7. 炎上したときに誰も動けない | 緊急時の連絡先と判断する人を決めておく |
失敗1:アカウントを業者に握られる
いちばん困るのがこれです。業者がアカウントを作り、メールアドレスもパスワードも業者のものになっていると、契約をやめた途端に自分のアカウントにログインできなくなります。何年も続けてきたフォロワーを失うことになりかねません。
防ぎ方の基本は、アカウントを本人(または後援会)が管理し、登録メールアドレス・電話番号・二段階認証・復旧手段も自分たちで持つことです。業者には、Xのアカウント権限、YouTubeのチャンネル権限、Metaのビジネス管理など、各SNSの権限管理の仕組みを使って、業務に必要な範囲の権限だけを渡します。最初から最高位の管理者権限を渡す必要はありません。契約が終わったら、業者の権限や連携しているツールも外します。すでに業者が作ったアカウントを使っている場合は、まず誰が所有・管理しているかを確認し、業者と引き継ぎの方法を話し合ってください。
失敗2:選挙期間中の依頼内容が危ない
公職選挙法では、選挙運動をした人に報酬を払うことは原則として買収になります。総務省は、業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合は買収となるおそれが高い一方、候補者の指示に従った機械的な作業であれば直ちに買収とはならない、という考え方を示しています。
つまり、平時と同じ感覚で「選挙期間も、何を投稿するか考えて、投稿までお任せ」と頼むのは危険です。選挙期間中は、企画と投稿の判断は本人や選対が行い、業者は具体的な指示にもとづく撮影・編集などの技術的な作業に限る、と契約の段階で分けておきます。撮影や編集という名目でも、業者が主体的に選挙運動の企画や訴える内容を決めていれば、報酬の支払いが買収にあたるおそれがあります。最終的には個別の事実関係で判断されるので、契約書に「編集業務」と書くだけでなく、実際の作業内容や、本人・選対からの指示と承認の記録を残しておきましょう。請求書の名目と実際の作業を一致させることも大切です。なお、法律上、代理投稿そのものが一律に禁止されているわけではありません。
あわせて、有料広告にも注意が必要です。選挙運動のために候補者名などを表示した有料のインターネット広告は、公職選挙法で禁止されています(告示前でも、選挙運動にあたる広告は対象になり得ます)。運用代行に広告の運用まで含まれている場合は、中身を確認してください。詳しくは選挙期間中もSNS支援はできるにまとめています。
失敗3:本人らしさが消える
業者に任せると、投稿がきれいに整う一方で、どの政治家のアカウントか分からない投稿になりがちです。テンプレートの画像に政策の文字を並べただけの投稿は、見た目は良くても、有権者の記憶には残りません。
地方議員のSNSでいちばん反応があるのは、本人が自分の言葉で話している動画や、地域の現場に本人がいる写真です。業者に頼むのは「見やすく整える」ところまでにして、本人の顔と声が出る投稿を必ず混ぜてください。文章も、業者が書いた下書きをそのまま出すのではなく、本人が一度読んで自分の言い回しに直すだけで、ぐっと伝わりやすくなります。
失敗4:見られているのは地元以外
月次レポートで「再生回数が伸びました」「フォロワーが増えました」と報告を受けても、見ているのが選挙区の外の人なら、地方選挙の票にはつながりにくいです。話題性のある投稿で全国から反応が集まっても、地元の有権者に届いていなければ意味が薄れます。
契約の前に、何をもって成果とするかを決めておきます。たとえば、地域の話題の投稿にどれだけ反応があるか、地元の人からのコメントやメッセージが増えたか、駅立ちや集会で「SNS見ています」と言われる回数が増えたか、といった指標です。各SNSの分析画面で、見ている人の地域が分かる場合もあります。
失敗5:追加料金がふくらむ
「月額〇万円」で始めたのに、撮影は別料金、修正は2回目から有料、急ぎの対応は割増、と追加料金で予算を超えるケースです。特に政治家のSNSは、議会の日程や地域の行事に合わせて急に撮りたい場面が出てくるので、契約外の依頼が増えがちです。
契約の前に、月の投稿本数、動画の本数、修正の回数、撮影の有無と回数、急ぎの対応の扱いを確認し、書面に残してください。年間の行事や議会の日程が分かっていれば、最初に伝えて見積もりに入れてもらうのが確実です。
失敗6:素材やデータが返ってこない
撮影した動画の元データや、作ってもらったバナーの元ファイルを、契約が終わったら使えないという契約もあります。次の業者に頼むときや、選挙の前に過去の映像を使いたいときに困ります。
制作費を払っても、著作権が自動的に発注者に移るわけではありません。納品された動画を契約終了後も使えるか、再編集や他のSNSへの転載ができるか、元の動画・写真・編集用のプロジェクトファイルを引き渡してもらえるかを、契約書で決めておきます。BGMや有料素材など、第三者の権利がかかわるものは、利用条件も確認が必要です。
失敗7:炎上したときに誰も動けない
投稿に批判が集まったり、事実と違う情報が広まったりしたとき、業者は勝手に削除や反論ができず、本人とは連絡がつかない、という状態がいちばん危険です。対応が遅れるほど、話は大きくなります。
契約の段階で、緊急時に誰に連絡し、誰が判断するかを決めておきます。業者ができること(投稿の一時停止、コメントの非表示など)と、本人が判断すること(削除、謝罪、説明)を分けておくと、いざというときに迷いません。なりすましへの対応はなりすまし投稿をされた候補者はどうする?も参考にしてください。
契約前に書面で決めておくことチェックリスト
| 項目 | 決めておくこと |
|---|---|
| 業務の範囲 | 企画、撮影、編集、投稿、コメント対応、レポートのどれをやるか |
| 本数と回数 | 月の投稿本数、動画の本数、修正回数、撮影の回数 |
| アカウント | 所有者、登録情報・復旧手段の管理者、業者に渡す権限の範囲、終了時の権限解除 |
| 権利とデータ | 著作権の帰属・利用許諾、再編集の可否、第三者の素材、元データの引き渡し、保存・削除の期限 |
| 選挙期間中 | 何をして何をしないか。指示・承認の記録、請求の名目、有料広告の扱い |
| 緊急時 | 連絡先、判断する人、業者ができる対応 |
| 成果の測り方 | 何の数字を見て、どう報告するか |
| 料金と解約 | 追加料金の条件、最低契約期間、途中解約 |
えらぶカーが最初にお約束していること
えらぶカーでは、こうした失敗が起きないよう、ご依頼の前に次のことをお約束しています。
- 契約の前に、業務の範囲を書面にします
- 選挙期間中は企画と代理投稿をお受けせず、候補者・選対の具体的な指示にもとづく撮影・編集の作業に限ります(えらぶカー独自のルールです)
- 請求の名目と、実際の作業を一致させます
- 選挙のあとに「〇〇さんの選挙を手がけた」といった発信はしません
- 判断に迷う点は、こちらから選挙管理委員会に確認します。必要に応じて、公選法に詳しい専門家への相談もおすすめしています
なお、個別の行為が適法かどうかは、具体的な事実関係によって判断されます。
よくある質問
Q. 今の業者との契約を見直したいのですが、何から始めればいいですか?
まず、アカウントの所有者と、登録メールアドレス・電話番号・二段階認証を誰が管理しているかを確認してください。次に、契約書で業務の範囲、納品物の権利、解約の条件を確認します。管理が業者側にある場合は、アカウントを失わないよう、契約条件と各SNSの仕組みを確認したうえで、業者と引き継ぎの方法を話し合ってください。
Q. 選挙期間中も、平時と同じ業者に頼んでいいですか?
同じ業者でも構いませんが、選挙期間中は頼む内容を変える必要があります。発信の内容と投稿の判断は本人や選対が行い、業者には具体的な指示にもとづく作業を頼む形にして、指示と承認の記録を残してください。
Q. 業者に頼んだ投稿で問題が起きたら、責任は誰にありますか?
投稿は本人のアカウントから発信されるので、有権者から見れば本人の発信です。法律上の責任の分け方は契約や状況によって変わりますが、最終的に説明を求められるのは本人です。だからこそ、投稿前の確認の流れを決めておくことが大切です。
まとめ
- 外注の失敗の多くは、最初に決めていなかったことから起きる
- アカウントと復旧手段は本人が管理し、業者には必要な権限だけを渡す
- 選挙期間中は、発信の内容は本人・選対が決め、業者への指示と承認の記録を残す
- 本人の顔と言葉が出る投稿を混ぜ、地元に届いているかで成果を測る
- 本数・権利・元データ・緊急時の対応・解約条件を書面にしておく
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えらぶカーは、政治家の方向けの撮影・動画編集・SNSコンサルティングを、撮影日単位でお受けしています。いまの業者との契約の見直しや、自前の運用との組み合わせのご相談だけでも構いません。2027年4月の統一地方選挙に向けたご相談も受け付けています。 制作から運用のご相談まで、山西が直接担当します。外注に丸投げはしません。
| サービス | 料金(税別) |
|---|---|
| 撮影(カメラマン同行) | 40,000円 / 日 |
| 動画の編集 | 20,000円 / 本 |
| 撮影+編集5本(最小構成) | 140,000円〜 |
| SNSコンサルティング(1日訪問) | 40,000円 |
交通費は実費精算です。サービスの詳細は政治家・候補者のSNS運用支援をご覧ください。
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