選挙カーに乗るのが初めての方から、よく「アナウンスでは何を言えばいいのか」「政策を話しながら走ってもいいのか」と聞かれます。実は、走っている選挙カーの上でできるのは、基本的に「連呼」だけです。政策を訴えたいときは、車を止めて街頭演説をします。この記事では、選挙カーのアナウンスのルールと、出発から夜8時の締めまで、そのまま使えるアナウンス原稿の例文をまとめます。
※えらぶカーは所属や党派に関わらず、同じ条件でお受けしています。この記事も特定の政党・陣営を念頭に置いたものではありません。細かな運用は選挙管理委員会の説明会や手引きで確認してください。
結論:走りながらは「名前を短く繰り返す」、訴えは「止まって話す」
| 場面 | できること |
|---|---|
| 走行中の選挙カーの上 | 候補者名などの連呼だけ。政策を詳しく説明する演説はできない |
| 停止した選挙カーの上 | 安全な場所に止め、標旗を掲げれば街頭演説ができる(連呼もできる) |
| 時間 | 連呼・街頭演説とも午前8時から午後8時まで |
| 学校・病院などの周辺 | 静穏を保つよう努める(努力義務。音量を下げる・控える) |
アナウンス原稿は、「名前・肩書き・お願い」の短い型をいくつか用意して、場面に合わせて使い分けるのが基本です。長い文章を読み上げる原稿は、走行中には使えません。
走行中は「連呼」だけ、と決まっている理由
公職選挙法では、選挙運動用自動車の上で選挙運動をすることは原則として禁止されています。例外として認められているのが、停止した自動車の上での街頭演説と、自動車の上での連呼です。つまり、走っている間に政策を長々と話すと、連呼の範囲を超えた選挙運動と判断されるおそれがあります。
連呼行為とは、候補者の氏名や政党名などを、短い言葉でくり返し呼びかけることです。短いスローガンを組み合わせる例もありますが、どんな表現でも認められるわけではありません。政策の説明や他の候補者との比較のように、演説にあたる内容は走行中には話さず、迷ったら名前とお願いだけにしておくのが安全です。
政策を訴えたいときは、車を安全な場所に止め、選挙管理委員会から交付された街頭演説用の標旗を掲げて演説します。止めればどこでも演説できるわけではなく、道路交通法の駐停車の規制や、通行の妨げにならないかにも注意が必要です。街頭演説は、同じ場所に長時間とどまらないよう努めることも求められています。
アナウンス原稿の基本の型
選挙カーのアナウンスは、次の3つの要素を組み合わせて作ります。
- 名前:いちばん大事な要素です。ひらがなの読み方で、はっきり、ゆっくり言います。投票用紙に書いてもらう名前を覚えてもらうのが目的です
- 肩書き・所属:「〇〇市議会議員候補」「〇〇党公認」など、短く添えます
- お願い・あいさつ:「よろしくお願いいたします」「ご声援ありがとうございます」など
原稿は、A4の紙に大きな字で、場面ごとに1枚ずつ作っておくと、車の揺れの中でも読みやすくなります。名前の読み方には必ずふりがなを振っておきます。
場面別・アナウンス原稿の例文
以下は、走行中の連呼と、停止中の案内に使える例文です。〇〇〇〇には候補者名、△△には選挙名や地域名を入れてください。どの表現も適法性を保証するものではないので、選挙管理委員会の手引きや地域の運用に合わせて調整し、走行中は同じ短い呼びかけのくり返しを基本にしてください。
出発時・朝のあいさつ
おはようございます。 △△市議会議員候補、〇〇〇〇(まるまる まるまる)でございます。 本日も一日、よろしくお願いいたします。
走行中の基本の連呼
〇〇〇〇、〇〇〇〇でございます。 △△市議会議員候補、〇〇〇〇でございます。 〇〇〇〇、よろしくお願いいたします。
基本はこのくり返しです。法律の決まりではありませんが、1回の呼びかけに名前を2回以上入れ、お願いで締めると、名前を覚えてもらいやすくなります。
住宅街を走るとき
お騒がせいたしております。 △△市議会議員候補、〇〇〇〇でございます。 〇〇〇〇、よろしくお願いいたします。
住宅街では「お騒がせいたしております」を添え、音量を少し下げます。同じ道を何度も往復しないことも大切です。
手を振ってくれた人へのお礼
ありがとうございます。 ご声援、ありがとうございます。 〇〇〇〇でございます。ありがとうございます。
手を振ってくれた人や、車に気づいてくれた人には、すぐにお礼を返します。車上運動員は、名前を呼ぶ係と周りを見てお礼を返す係に分かれると、取りこぼしが減ります。
学校・病院の近く
学校、病院、診療所などの周辺では、静穏を保つよう努めることが法律で求められています(努力義務で、法律に具体的な音量の上限はありません)。ここでは例文を使わず、音量を大きく下げるか、アナウンスを止めて通過するのが基本です。
街頭演説の前・停止したとき
(停車して標旗を掲げてから) 〇〇〇〇でございます。 ただいまから、こちらで街頭演説を行います。 少しの間、お騒がせいたします。
車を止めて標旗を掲げたら、街頭演説として政策を話すことができます。演説の中身は候補者本人の言葉で話すのがいちばん伝わります。
雨の日
お足元の悪い中、失礼いたします。 △△市議会議員候補、〇〇〇〇でございます。 〇〇〇〇、よろしくお願いいたします。
最終日・夜8時前の締め
〇〇〇〇、最後のお願いでございます。 △△市議会議員候補、〇〇〇〇でございます。 〇〇〇〇、最後まで、よろしくお願いいたします。
連呼も街頭演説も午後8時までです。最終日は、午後8時までに連呼と街頭演説を終えられるよう、余裕を持ってルートを組みます。
音量と場所への配慮
選挙カーへの苦情でいちばん多いのは、音の大きさです。アナウンスの中身が良くても、うるさいと感じられれば逆効果になります。
- 住宅街:音量を下げ、同じ道を何度も回らない
- 商店街・駅前:人が多い場所では、走りながらより止まって街頭演説をするほうが伝わります
- 交差点・信号待ち:信号待ちの間は、周りの歩行者にお礼を返す時間と考えます。信号待ちを使って演説を始めるのは避け、演説は安全に止められる場所で行います
- 朝と夜:午前8時より前と午後8時より後は、連呼も街頭演説もできません。早朝に住宅街を走るときは、マイクを使わず手を振るだけにします
近隣トラブルへの対応は選挙カー運用で起こりやすい近隣トラブルとクレーム対応、音響機材は選挙カーの音響機材の選び方も参考にしてください。
ウグイス(車上運動員)とのチームづくり
- 乗車できる人数:選挙運動用自動車に乗れるのは、候補者、運転手(1人)と、乗車用の腕章を着けた運動員4人以内です。車の乗車定員を超えることはできません。停車して街頭演説をするときに従事できるのは、候補者と運転手を除いて15人以内です(選挙カーに乗れる人数は?)
- 表示物を確認する:選挙運動用自動車と拡声機には、選挙管理委員会が交付する表示物を付けます。出発前に付け忘れがないか確認します
- 原稿を共有する:候補者の名前の読み方、肩書き、言ってよいフレーズを、全員が同じ原稿で読みます。人によって言い方が違うと、名前が覚えてもらいにくくなります
- 交代の時間を決める:法律の決まりではありませんが、声を出し続けると喉が持ちません。30分〜1時間ごとに交代し、水分をとるのがおすすめです
- 報酬:選挙運動の手伝いは無報酬が原則ですが、もっぱら車上で選挙運動をする車上運動員(いわゆるウグイス)には、事前に選挙管理委員会に届け出たうえで、人数と金額の上限の範囲で報酬を支払えます。2025年6月の政令改正で国の基準は1日20,000円に引き上げられ、地方選挙でも各選挙管理委員会が規程で上限を定めています。立候補する自治体の額を確認してください(ウグイス嬢にお金を払える理由)
やってはいけないアナウンス
- 走行中に政策を長く話す:連呼の範囲を超えるおそれがあります。訴えたいことは、止まって街頭演説で
- 他の候補者を攻撃する・事実と違うことを言う:他の候補者を当選させない目的で虚偽の事項を公表すると、公職選挙法の虚偽事項公表罪にあたるおそれがあります
- 告示前に候補者名を連呼する:選挙期間前の名前の連呼は事前運動にあたるおそれがあります。政治活動中の街宣車での注意は政治活動中の街宣車、看板には何を出す?にまとめています
- 投票日当日に選挙カーを走らせる:選挙運動は投票日の前日までです
- 時間外に使う:午前8時より前、午後8時より後の連呼・街頭演説はできません
よくある質問
Q. 走りながらキャッチフレーズを言ってもいいですか?
名前に添える短いフレーズ程度であれば、連呼の一部として使われることが多いです。ただし、政策の説明や理由まで話すと連呼の範囲を超えるおそれがあるので、短く、名前とお願いが中心になるようにしてください。判断に迷う場合は、選挙管理委員会に確認してください。
Q. 録音したアナウンスを流してもいいですか?
録音した音声を使う場合は、使う場面や内容を事前に選挙管理委員会に確認してください。公職選挙法は街頭演説などでの録音盤の使用を認めていますが、それだけで走行中のあらゆる録音アナウンスが問題ないとは言えません。また、手を振ってくれた人へのお礼や、学校・病院の近くでの音量の調整など、その場に合わせた対応もしにくくなります。地方選挙では、車上運動員が肉声で呼びかけるほうが、地域の人に気持ちが伝わります。
Q. 候補者本人もアナウンスしたほうがいいですか?
候補者本人も、走行中に名前などを連呼することができます。本人の声はいちばん印象に残るので、要所では本人がマイクを持つのがおすすめです。政策を詳しく訴えるときは、停車して街頭演説を行いましょう。
まとめ
- 走行中の選挙カーの上でできるのは、基本的に連呼だけ
- 政策を訴えるときは、安全な場所に車を止め、標旗を掲げて街頭演説
- 原稿は「名前・肩書き・お願い」の短い型を、場面ごとに用意する
- 学校・病院の近くでは静かに。午前8時から午後8時までを守る
- 他の候補者への攻撃、告示前の名前の連呼、投票日当日の運動はしない
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| プラン | 料金 |
|---|---|
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